GP-SP赤道儀コントローラー回路


私が初めて手にした赤道儀はGP2ガイドパックという星野赤道儀でした

その赤道儀のコントローラーDD-2はオートガイダーに非対応でしたが

コンバーター回路を付け加えてオートガイダー対応にできるというブログ記事を見つけ

その工作をしました

その回路に関する記事はこちらです


最も一般的なオートガイダーのST-4規格は通常駆動時「Hi」(いわゆる1、ONの状態)

速度を変更する信号「Low」(いわゆる0、OFFの状態)

となっているのですが

DD-2は通常駆動が「Low」、速度変更するためにボタンを押した状態が「Hi」のように

正反対の論理になっていました

そこで、オートガイドの信号のHiとLowを入れ替える「コンバーター回路」を入れることによってST-4規格のオートガイダーに対応するようにしたのです


さて、私が新しいコントローラーを自作する際に、当初はST-4規格にそのまま準じるように回路設計をしたのですが、なにしろ素人の回路制作なので、ショートしたり過電流が流れたりしたときにオートガイダーが壊れないようにコントローラー回路とオートガイダーの回路を分離したいと考えました

そこで採用したのは上で述べたコンバーター回路です

コンバーター回路は電源こそ同じ所から引いてきていますが、回路自体は独立していて、接続部分はダイオードが入っていて逆電流は通りませんし、中心のインバータICの電流は一方通行です

ただし、「コンバーター回路」をはさむことで、プログラムの論理が逆になるので

書き換えが必要でした

例えば

追尾のルーチンの

  BTFSS PORTA,1 ;(RA1が1だったら次の命令をスキップ)

  GOTO NLSTAR2

  BTFSC PORTA,1 ;(RA1が0だったら次の命令をスキップ)

  GOTO NLSTAR2


速度変更のルーチン

  BTFSC PORTA,0 ;(RA0が0だったら次の命令をスキップ) 

  GOTO STEP2

  BTFSS PORTA,0 ;(RA0が1だったら次の命令をスキップ) 

  GOTO STEP2

という具合にBTFSCとBTFSSの入れ替えです




さて、ここから、回路について具体的に説明します

回路図は下の通りです


この回路はマイコン、MOSFET(NチャンネルMOSFET)、モーター、の3つの部分に分けられます

マイコンのRA0,RAは上で述べたコンバーター回路につながっています


R1~19までの抵抗はそれぞれ役割が違います

  R1~6はプルダウン抵抗 (10kΩ程)参考→プルアップ回路とプルダウン回路とは?

  R7~10はLED抵抗 (光らせるLEDによりますが1kΩ程)

  R11~14はMOSFETゲート抵抗 (MOSFETにもよりますが50Ω程)

  R15~18はMOSFETのプルダウン抵抗 (10kΩ程)

  R19はモーターの電流調整の抵抗

となっています

上記のように、オートガイダーの信号はコンバータ回路で反転しているのでプルダウンさせます

それに伴ってスイッチもプルダウンさせます



マイコンのインプット・アウトプットは次を割り当てました

RA0とRA1はオートガイダーの信号入力

RA2~5は4つのスイッチにつながっていて、このOn,Offの組み合わせで赤道儀の回転速度を設定します

GP-SP赤道儀コントローラーの場合はオートガイダーの信号を受けて減速、加速するときのスピードを設定しています

今回は紹介していませんが、自作ポータブル赤道儀コントローラーの場合は、8つの駆動速度のモード(星、太陽、月、0.5倍速、16倍速など)と、それぞれに北天、南天の合計16モードの設定ができるようになっています

RB0~3は動作モニターのためのLED

RB4~7はMOSFETに電流を送ります


MOSFETはトランジスタの一種で、ゲート(G)に電圧をかけるとドレイン(D)からソース(S)に電流が流れるという、半導体で作られたスイッチのようなものです

ソフトの記事で説明したように、ゲートに規則的に電圧をかけることよってステッピングモーターが回転します

MOSFETとマイコンの間にはゲート抵抗というものを置きます

この抵抗を置くことで信号の立ち上がるスピードの調整や安定した波形の形成をすることができます

概ね、数十Ωの抵抗を使いますが、データーシートを見て正確に抵抗値を計算することもできます

参考→【ゲート駆動回路】ゲート抵抗の設計方法について

参考→FETのゲート抵抗


ダイオードD1~4はモーターを制御する際に発生する逆起電力をプラス側に流してFETなどの破損を防ぐ役割があります

モーターは電源が切れた瞬間から停止するまで発電をしてしまい、モーターとFETのドレイン(D) の間に電源電圧の数倍の電圧が発生してしまいます

この電流をダイオードを通じて電源側に流してFETを保護します

モーターを使う電子工作の場合は必ずこのダイオードを入れる必要がありますので注意してください


R19はモーターに流れる電流を小さくする役割です

GP赤道儀に使われているステッピングモーターは20Ωですので

12Vの電圧をかけると0.6Aの電流が流れます

この状態だと振動が強すぎるため電流を低くするために

50~80Ω程の抵抗を置いています

ただし、例えば0.12Aの電流にしたとすると、0.12A×12V=1.44W となってしまうので

一般的に使われる1/4Wの抵抗ではスペックが足りません

そこで3Wほどの抵抗を使います

酸化金属皮膜抵抗

満天の星空

星空の画像、主に中望遠レンズでの星雲星団の画像を公開します。 機材の改造やカスタマイズについても載せていきたいと思います。