赤道儀はどのくらいの精度が必要かというと、撮る写真の画角によります。
もし遠くにある銀河を撮影したいと思ったら、かなり精度のよい大型の赤道儀が必要でしょう。でも、標準レンズや広角レンズで、5分くらいの露出でよければ高価な赤道儀を買う必要は全くありません。簡単な木工作で造れる赤道儀があります。
それがこのタンジェントスクリュー式の手動赤道儀です。
下部の拡大です。ネジが刺さっています。
このネジはJIS規格のM6というどこにでも売っている普通のネジです。
このネジの山と山の間隔は1ミリ。つまり、一回転するとネジが1ミリ奥に入って行くことになります。この動きで板を押します。
1日は24時間ですが、この時間は太陽を基準にした時間です。
地球は自転しているうえに、太陽の周りを公転していますから
恒星を基準にした時間とでは差が出ます。
計算すると86164.09秒となり、24時間より約4分弱短くなります。
では1分でどれだけの角度動くのでしょうか?
86164.09秒は1436.07分ですから、360÷1436.07=0.2507°となります。
ここで三角関数の計算が出てきますので難しくなりますが、
尖った方の角が0.2507°になる直角三角形の底辺が2ミリだとすると、
その高さは457.08ミリになります。
計算式は
2/tan0.2507°=457.08
三角関数なので難しいですが、計算サイト等がありますので…。
つまり、極軸から457ミリ離れた点をネジで押して、1分間に2ミリ、つまりネジを二周分回せば、星が1分間に動いた角度と同じだけ回すことができるのです。
なぜ、一周でなく二周にしたかというと、その方が誤差を小さく出来るからです。
極軸からネジまでの距離は長いほど精度が増します。三周にすると赤道儀が大きくなりすぎるので二周がちょうど良いでしょう。勿論もっとコンパクトに一周でも良いでしょう。その場合はサイズは半分になります。
あとは計算通りに穴をあけられるように適切な長さに板を切って寸法通りに穴をあけて出来上がりなのですが、ここから先は皆さんのインスピレーションで形を作りましょう。
私の場合、ボルトを回す時に手が震えてカメラが揺れてしまわないようにネジの先に糸車を付けて、その糸を引っ張る力でボルトを回す仕組みにしました。
そのボルトは爪付ナットによって本体と繋がっています。
さらに可動部分が浮き上がってこないように逆L字形の木片で支えてあります。
雲台は可動部分の何処に付けても良いのですが、私の場合極軸に取り付けました。
裏からインチ規格のボルト「1/4W20」で雲台と共に締め付けてあります。木製ですので、適度な摩擦があってよほど重いカメラを載せない限り雲台は緩んだりはしません。
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